「泣いているよ」
空に目を遣れば黒い何かが宙を舞う
「早く泣き止んで」
だれかが急かす度に波はいっそうはやく ひき、満ちる

口に入った砂はいつの間にか甘味を強調しだし
潮のにおいは恐怖を感じさせ
太陽は舞う黒い物質を作り出した

「泣いているよ」
「早く泣き止んで」
ぼくはここに居る
優しい涙を探している






海(2007/07/14)