ちっぽけな骨と分厚い皮を不器用に使って 首をつねってみたの
力なんてそんなもの 必要以上にかかってしまうのはとうの昔に知っていたの
だからね 呼吸ができなくなることなんて あらかじめ想定していたのよ
懸命に首を両手で押さえつけながら 吹き抜けの階段で口笛を吹く
窓を開け放ち 甲高い音と共にわたしは空へ昇っていく
(どこへいくというの わたし)
(どこへいくというの わたし)
ついさっきまで黒い服のままで 手と首を使って明日を迎える準備をしていたはずよ
けれども 上手にできなかったから わたしはただ宙を浮き続ける
このまま身体が散乱してしまうのもなんだから 最後の力を振り絞って太陽に手を伸ばしてみた
ポケットに仕込んでいたカメラを通して 光の筋を確認する
きらびやかで とっても綺麗
わたし このまま消えてしまってもいい
夢の最後の記憶は 太陽と一体化した瞬間だった
気がつくと 太陽の匂いのする黄色い空間に入り浸っていた
体には見なれたシーツ 胸には日々の空虚
こうして明日はいとも簡単にわたしを誘う
(どこへいくというの わたし)
(どこへいくというの わたし)
さようなら(2010/04/07)